マンチカンとは?

短い肢に丸い顔がとても可愛らしいマンチカン。原産地はアメリカで、体重が2~4kgほどの猫です。一般的な猫の平均体重は3~5kgなので、マンチカンは比較的小さめな猫となります。

体型は、アメリカンショートヘアやスコティッシュフォールドと同じセミコビータイプに分類されます。セミコビーとは、胴体、尻尾がやや長め。顔は丸みを帯びて、目は丸く、アゴがしっかりとしているという特徴があります。

マンチカンの誕生の歴史には諸説ありますが、突然変異で肢の短い猫が生まれたという説が有力です。1944年~1970年にかけて、イギリス、ロシア、ニューヨークなどで肢の短い猫の存在が報告されていました。
マンチカンという品種が固定されるきっかけとなったのは、1983年頃のこと。アメリカのルイジアナ州で「ブラックベリー」という名前を付けられていた保護猫が子猫を生みました。その子猫の半数が短足猫だったのです。その後、ブリーダーに引き取られた短足の子猫は、他の猫種と交配されて繁殖していき、今のマンチカンが確立されました。

マンチカンは、短い肢が特徴ですが、中には肢の長いマンチカンも存在します。その理由はマンチカンを繁殖するときに、肢の短い猫と肢の長い猫をかけ合わせるからです。肢の短い猫同士のかけ合わせだと奇形の子猫が産まれたり死産したりする可能性が高いので、肢の長い猫を繁殖に用います。肢の短さにはバラつきがありますが、そのマンチカンの個性として受け止めてあげましょう。

異なる猫種と交配がされてきたマンチカン。そのため、模様や毛色、毛の長さまでバリエーションが豊かです。
以下では、一般的にペットショップで見ることができるマンチカンの毛色を紹介します。

レッド
クリーム
キャリコ
シルバー
ブラック
ブルー

お気に入りのマンチカンを見つけて、家族に迎えましょう。

マンチカンの性格

マンチカンは好奇心が旺盛で人懐っこい性格です。イタズラ好きな面も。
社交性や順応力も高いので、家族以外の人や小さな子供、他の動物とも仲良くすることができます。

人とのスキンシップを好む甘えん坊なので、猫とはたっぷりとコミュニケーションを取りたいという人や初めて猫を飼うという人に合った猫といえるでしょう。

マンチカンのお世話

まず、マンチカンのお世話をするうえで大切なのは食事です。フードは栄養バランスの整っている総合栄養食を与えてください。猫は食事にこだわりがある個体が多いです。いつでも新鮮なフードを与えることができるように、小さいサイズの袋や小分けの食べきりサイズになっているフードがおすすめ。安価のフードは劣化がしやすい植物性油脂が多く含まれている場合があるのでフードの成分表は確認しておきましょう。ウェットフードを混ぜたり、トッピングをしたり工夫をして、猫がバランスよく栄養が摂れるようにしてください。
マンチカンは適切な体重を維持することが大切なので、オヤツや副食はほどほどにしましょう。

水もいつでも新鮮なものを飲めるようにしておいてください。猫はたくさん水を飲む動物ではありませんが、水の飲み方や飲む場所、容器にこだわりを持っている猫も多くいます。脱水を避けるために、水を飲める場所を複数カ所用意しておくと良いでしょう。

次にトイレです。猫はとても綺麗好きなので、簡単にトイレの場所を覚えてくれます。トイレは落ち着いて排泄ができる静かな場所に設置してください。
猫の排泄物は健康のバロメーターです。飼い主が排泄物の状態を確認しやすいトイレ容器とトイレ砂を選んでください。トイレが汚れていると猫が排泄をしないこともあるので、綺麗な状態を維持できるようにしておきましょう。飼い主さんが掃除をしやすいトイレを選ぶこともおすすめです。

肥満予防、ストレス発散のために適度な運動はさせてください。激しい運動をさせる必要はありませんが、前述したようにマンチカンは人とのスキンシップが大好きな猫。飼い主さんが積極的に遊んであげましょう。

お世話にはブラッシングも取り入れてください。マンチカンは、長毛種も短毛種もいますが、毛の長さに関係なく春と秋に換毛期が来ます。特にこの時期はブラッシングが必要。ブラッシングの頻度は1日1回が理想的です。こまめにブラッシングをしてあげましょう。
ブラッシングをすることで、床に抜け落ちる毛や毛玉の吐き戻しを減らすことができます。皮膚へのマッサージ効果もあり、毛玉や毛もつれを取り除いて皮膚への通気性を良くし、皮膚トラブルの予防効果も。なによりブラッシングという行為は、猫と飼い主とのコミュニケーションツールにもなるのでおすすめです。

予防面では、子猫の時期に混合ワクチンの接種が3回必要です。それ以降は、1年に1回ワクチンが必要になりますので、通いやすい動物病院を探しておくと良いでしょう。

マンチカンを飼うときの注意点

マンチカンを飼うときに最も注意してほしいことは外へ出さないことです。完全室内飼いをしてください。猫は、犬のように外に出して散歩をする必要はありません。室内での運動で十分です。
愛猫を外に出すということは命を危険に晒す行為。交通事故に遭う可能性も高く、野良猫との接触で病気に感染するリスクが高まります。さらに、避妊去勢手術をしていないと野良猫との交尾で子猫が生まれ、どんどん野良猫を増やしていってしまう可能性も。
飼い主の責任として完全室内飼いをおすすめします。

完全室内飼いをするために、お家の飼育環境を整えていきましょう。マンチカンの性格や運動神経を踏まえ、高い場所に登って降りられなくなったり、着地に失敗して怪我などをしたりすることがないように、高低差の少ない場所で生活させてください。生活スペースにマットを敷いて飛び降りたときの衝撃の緩和や滑らない対策をしておくこともおすすめです。
また、猫は紐やゴム、ビニールが好きなので、遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまう恐れも。これらのものは猫が届かない場所に置きましょう。

温度管理もしっかりと行ってください。夏は熱中症対策にクーラーが必要です。クーラーの風が苦手な猫もいるので、猫自身が快適と感じる場所に移動できるようにしてあげましょう。熱い室内で長時間お留守番させることは避けてください。
特に寒さが苦手な猫。エアコンやヒーターなど防寒グッズを使って寒さ対策をしてあげることが必要です。

マンチカンを飼うときに心配なのは病気。以下ではマンチカンがなりやすい病気を紹介します。

骨軟骨異形成症候群

マンチカンの遺伝病の一種で、軟骨や骨に異常が起きる病気です。関節が硬くなり、肢の可動域が狭くなります。多くの場合が痛みに対する対症療法となり、生涯付き合っていかなくてはなりません。生活環境の改善や関節に負担がかからないように体重管理を徹底する必要があります。

椎間板ヘルニア

こちらもマンチカンの胴長で短足の特徴からなりやすい病気です。
背骨と背骨の間に存在し、クッションの役割をする椎間板。その椎間板が背中側に飛び出して末梢神経を圧迫します。肥満で関節や腰に負担をかけることが原因です。肥満にさせないことが予防方法といえるでしょう。

結石症

膀胱から尿道の間に結石ができて、排尿機能に支障を引き起こす病気です。原因には体質や食事などです。治療は結石の摘出、食事療法を行います。

マンチカンをお迎えするときは、まず動物病院で健康診断をしてもらうと安心でしょう。定期的に健康診断をしておくことも病気の早期発見につながります。

マンチカンは初心者でも飼いやすい猫種です。マンチカンの特徴を知ってより良い関係を築き、猫との生活を楽しんでください。
わからないことや不安なことは、ショップや動物病院に相談しましょう。