マルチーズとは?

マルタ島原産の小型犬です。体重は2.5~3.2kg、体高は22~25cm、全身が白色でシルクのように滑らかな被毛に覆われ、鼻や瞳、肉球は黒々としているところが特徴です。

毛色は白色のみで、一般社団法人ジャパンケネルクラブによると、淡いタン(茶色)、レモン色は許容されますが、純白が望ましいとされています。

マルチーズの歴史は古く、祖先犬は紀元前1500年頃に、海洋貿易を得意とする民族、フェニキア人により貿易中継地点だったマルタ島に持ち込まれました。マルチーズは品種改良で小さくなったのではなく、元から小さい犬であったため、世界最古の愛玩犬とされています。

長い船旅をする者や船員のペットとして親しまれており、これらの人々によって世界各国へ持ち出されました。シシリア島を経てヨーロッパ各国へ渡り、フランスでは15世紀頃から貴婦人の愛玩犬となり親しまれ、19世紀になってイギリスへ渡りました。

ビクトリア女王がマルチーズを飼育したことをきっかけに、19世紀末にはイギリスの一般市民にも知れ渡りました。
マルチーズが日本に入ってきたのは1960年頃とされており、ジャパンケネルクラブによると1968~1984年まで登録件数が首位だったほどの人気犬種となりました。当時の日本では、犬は外で飼育するのが当然でしたが、マルチーズの流行により室内飼いという飼育スタイルが確立されていきました。現在でも愛好家の多い犬種です。

マルチーズの性格

甘えん坊、知的で、明るく活発な性格をしています。甘えん坊で遊び好きなので、たくさんコミュニケーションを取りましょう。また、古くから人と生活してきたこともあり、しつけがしやすい犬種です。その反面、神経質でシャイな面も持ち合わせています。甘やかしすぎてしまうと、飼い主をリーダーとして認識してくれなくなり、神経質な面が強く出てくることがあります。咬み癖、吠え癖がつくことがあるので、社会性を身に付けるために子犬の時期からしつけをしっかりと行いましょう。

マルチーズのお世話

マルチーズは毛が伸び続ける犬種なので、定期的にトリミングに出しましょう。短めにカットしてもらうと自宅でのお手入れも簡単になります。テディベアカットやボブカットなど様々なカットスタイルが楽しめます。シルクのように滑らかな被毛は汚れやすく、絡みやすいのでシャンプーや毎日のブラッシングなど自宅での被毛のお手入れも必要になります。口や目の周りも汚れやすいので、被毛を短くカットしておくか、頻繁に拭いてあげて清潔にしてあげましょう。

小型犬なので長時間の散歩や激しい運動は必要ありませんが、外の環境に慣れさせて、社会性を身に付けるために短時間でも良いので散歩をさせてください。散歩はストレス解消や気分転換にもなります。
飼い主と遊ぶことが好きな犬種なので、室内でもおもちゃで遊んだり、スキンシップをしたり、十分にコミュニケーションを取りましょう。

子犬の時期からのしつけも大切です。しつけは無理に従わせるより遊びの中で楽しみながらトレーニングしていくと学習しやすいです。褒めながらしつけをしていきましょう。
また、飼い主への依存度が高くなりやすい傾向にあるので、1頭でも過ごせるようにトレーニングが必要です。飼い主への依存度が高いと、家を空けた際に破壊行動をしたり、吠え続けたりと問題行動を起こす場合があります。休憩時にはケージに入れる、甘やかしすぎないなど適度な距離を保ち、飼い主から離れていても大丈夫なように子犬の時期からトレーニングをしましょう。
また、耳や口周り、目の周りが汚れやすいので、触られることに慣れさせるトレーニングをすると日頃のお手入れがしやすくなります。

フードは栄養バランスの良い総合栄養食を与えましょう。マルチーズのような小型犬には粒の小さいフードがおすすめです。小食や偏食な個体も多いので、おやつの与えすぎには注意して、嗜好性の良いフードを与えたり、トッピングをしたり工夫しましょう。

マルチーズを飼うときの注意点

関節トラブルが多い犬種なので、生活環境を整える必要があります。フローリングには絨毯やマットを敷いて室内を走り回っても滑らないようにしましょう。また、高いところに登ったり飛び降りたりしないように段差がないところで生活させてください。

マルチーズは暑さにも寒さにも弱い犬です。夏は熱中症にならないように、日が差している時間帯の散歩は避けたり、エアコンの効いている部屋で過ごさせたり工夫をしましょう。暑い室内や車内に長時間お留守番させるのは避けてください。冬はヒーターを用意し、洋服を着せる、寝床に暖かい毛布を敷くなど寒さ対策をするのがおすすめです。

マルチーズを飼うときは病気にも注意しましょう。心配な病気は膝蓋骨脱臼、流涙症、外耳炎、マラセチア皮膚炎、眼瞼内反症が挙げられます。

膝蓋骨脱臼

膝のお皿が外れてしまう病気です。小型犬に多く見られ、膝がポキポキと鳴ったり、ジャンプができなくなったりする症状が見られます。酷い場合には肢を上げて痛がるしぐさをすることもあります。多くの場合が経過観察となるので、床が滑らないように生活環境を整える必要があります。激しい運動をさせないことも予防になります。

流涙症

涙が鼻涙管にうまく排出されない病気です。常に涙が溢れてしまっている状態で、涙が目頭から鼻の横の被毛に流れ出て、茶色に変色していきます。涙やけともいわれています。目の周りの被毛を短くトリミングしておくか定期的に拭いてあげる必要があります。涙やけクリーナーやローションも市販されているので、それらでお手入れをするのも良いでしょう。

外耳炎

マルチーズは垂れ耳なので、耳の中が蒸れやすくなっています。通気性が悪くなることで細菌が繁殖し、炎症を引き起こします。耳が腫れ、耳垢が溜まったり、しきりに耳を痒がるといった症状が見られたら、動物病院へ連れて行きましょう。日頃から自宅で耳のお手入れをして清潔に保つことが外耳炎予防になります。

マラセチア皮膚炎

犬の皮膚はとてもデリケートで、不衛生にしておくと皮膚トラブルになりやすいです。マルチーズも皮膚トラブルを引き起こしやすい犬種で、繁殖した細菌やカビの影響により、マラセチア皮膚炎という病気を引き起こします。皮膚が赤くなりベタつく、体臭が強くなるといった症状が出た場合は治療が必要でしょう。

眼瞼内反症

先天的な疾患で、瞼が内側に巻き込まれてしまい、逆さまつ毛になります。逆さまつ毛が角膜を刺激して涙が多くなったり、角膜炎や結膜炎を引き起こしたりすることもあります。この眼瞼内反症が涙やけの原因になることもあり、刺激しているまつ毛を抜くなどして対策をします。先天的による疾患なので、効果的な予防方法がなく、定期的な目のチェックが必要になるでしょう。
お迎えした際には動物病院で健康診断をしておくと安心です。

マルチーズは愛玩犬として人と長く生活をしてきたので、良きパートナーとなる魅力溢れる犬種です。
小型犬は健康であれば10年以上生きて、長い時間生活を共にできます。お迎えする際は、終生飼育が可能な経済状況か、生活してもらう環境は整えられているか確認してください。
わからないことや不安なことがあれば、ショップや動物病院に相談しましょう。