ペキニーズとは?

ペキニーズは肢が短くずんぐりとした体型をしており、長毛で豊かな被毛に全身が覆われています。耳は垂れていて、顔は大きな瞳とぺちゃっとした低い鼻が可愛らしく、気品と可愛さを兼ね備えた魅力のある犬種です。

原産国は中国、体重は5kg程度、体高は20~30cm前後で、日本社団法人ジャパンケネルクラブによると、愛玩犬に分類されています。

ペキニーズの祖先犬はラサアプソという犬種です。ラサアプソはチベットにある出家修行僧が共同生活を行う僧院という施設で、聖なる犬の1種として飼育されていました。こうした聖なる犬は王や貴族、権力者に献上することで政治と宗教の結びつきを強め、僧院は権力を誇示してきたのです。ラサアプソを含める聖なる犬を贈られた国の王や貴族も民衆に権力を示すことができました。

宗教的にも政治的にも重要な役割をしていたラサアプソは、中国の王に贈られます。そこで中国古来の犬とラサアプソが交配され、ペキニーズが生まれたのです。ペキニーズは長い間、宮廷内のみで飼育され、門外不出の犬とされていました。
しかし、1840年~1842年にイギリスと中国の間で行われた阿片戦争で、イギリス軍はペキニーズを自国へ持ち帰ります。ビクトリア女王にも献上され、はじめのうちは貴族の間でペットとして親しまれていましたが、ドッグショーに登場したことで世界に存在が知れ渡るようになりました。

ペキニーズといえば豊かな被毛が特徴で、その被毛のカラーは豊富にあり、ジャパンケネルクラブでもあらゆるカラーと模様が許容されています。
下記ではペキニーズにみられる一般的なカラーをご紹介します。

ホワイト
ブラック
フォーン
グレー

お気に入りのカラーのペキニーズを見つけてお迎えしましょう。

ペキニーズの性格

ペキニーズは、誠実で勇敢です。見た目が可愛いので意外性があるのですが、自立心を持っていて、気高い性格をしています。
少し頑固な面があるので、根気強くしつけが行う必要があるでしょう。飼い主さんをリーダーと認めたら、忠実で飼いやすい犬種です。

ペキニーズのお世話

まずは、健康な体作りのために栄養バランスの整った総合栄養食をあげましょう。
パピー期は急速に成長するので、栄養価の高いパピー用フードをあげて、成長が落ち着いてきた生後10カ月頃には成犬用のフードへと切り替えていきます。

フードは新鮮なものをあげられるように、1袋を1カ月程度で食べきれるサイズがおすすめです。開封してから時間が経つとフードの油分が劣化します。劣化したフードは下痢や嘔吐、アレルギーを引き起こすこともあるので、質の高くて新鮮なフードをあげられるようにしておきましょう。
安価なフードは体に良くない添加物や劣化しやすい植物性油脂が含まれている場合があるので、犬に与えるフードの成分はしっかりと確認してください。おやつのあげすぎはペキニーズの肥満につながるので、ほどほどにしておきましょう。

ペキニーズはダブルコートという二重毛構造になっており、抜け毛が多く、毛玉や毛もつれができやすいので、こまめな被毛のお手入れが必要です。

ブラッシングは可能であれば毎日行ってあげましょう。スリッカーブラシやステンレス製のコームを使用して、抜け毛や毛玉、毛もつれを取り除いてあげてください。
ブラッシングをすることで床に落ちる毛も減らすことができますし、マッサージ効果、皮膚への通気性を良くして皮膚トラブルの予防にもなります。

月に1~2回はシャンプーもして、被毛や皮膚の汚れを落してあげましょう。シャンプーはやりすぎると皮膚バリアのバランスを崩して皮膚トラブルの原因となるので、やりすぎには注意してください。
ペキニーズは被毛が長くて自宅でお手入れすることが難しいという場合には、トリミングサロンでお手入れをしてもらいましょう。お手入れがしやすいように、被毛をカットすることもおすすめです。豊かな被毛を活かしてサマーカット、ライオンカット、コアラカットなどさまざまなカットスタイルが楽しめます。

ペキニーズは激しい運動は必要としませんが、運動不足解消、ストレス解消のために15分程の散歩には行きましょう。散歩は外の環境に慣れさせて社会性を身に付けるためにもおすすめです。

しつけはパピーの時期からしっかりと行い、信頼関係を築いていきましょう。犬は甘やかして育ててしまうと、噛み癖や吠え癖がついてしまうことがあります。前述したようにペキニーズには少し頑固な面もあるので、飼い主さんが制御できるように根気強くしつけをしていきましょう。しつけをするときは決して叱らず、ご褒美を上手く使って、褒めて伸ばすと犬のモチベーションがあがって飲み込みが早くなります。

予防面では、パピーの時期に3回の混合ワクチン接種と1回の狂犬病予防接種が必要です。成犬になったら年に1回の混合ワクチンと狂犬病の予防接種をしましょう。
暖かい時期は、蚊が媒介するフィラリア感染症の予防とノミダニの予防が大切です。

ペキニーズを飼うときの注意点

ペキニーズは毛量が多いので暑さに弱い犬種です。暑さ対策はしっかりと行う必要があります。夏はクーラーが必須です。夏場はクーラーの効いていない部屋や車内でのお留守番はさせないようにしましょう。トリミングでサマーカットしてしまうこともおすすめです。

ペキニーズをお迎えするときは、飼育環境も整えていきましょう。ペキニーズは肢が短めな犬種で肢や腰に負担がかかりやすい犬種です。生活スペースには床が滑らないように、絨毯やマットを敷くなど工夫をしてください。
パピーの時期はイタズラをしてしまうことも多いので、入ってほしくない場所には仕切りをしておくことも大切です。

ペキニーズを飼うときに心配なことは病気です。ペキニーズがかかりやすい病気を下記で紹介します。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間に存在し、クッションの役割をする椎間板が背中側に飛び出して末梢神経を圧迫する病気です。肥満で関節や腰に負担をかけることが原因となってしまうので、体重管理を徹底することが予防方法になります。食事やおやつのあげすぎには注意が必要です。

アレルギー性皮膚炎

ペキニーズはアレルギー体質な個体が多いです。アレルギー性皮膚炎の症状には、痒み、湿疹、体が脂っぽくなったり耳に痒みが出たりすることもあります。
アレルギーの原因は、食事、季節の変わり目などです。治療は食事療法や薬浴、動物病院で痒み止めの薬を処方してもらうこともあります。ペキニーズのお手入れをまめに行い、生活スペースを清潔に保ち、食事に気を付ける必要があるでしょう。

流涙症

ペキニーズのように鼻がぺちゃっとしている短頭犬種に多い病気です。涙が鼻涙管にうまく排出されず常に涙が溢れてしまっている状態で、目の下が赤茶けてしまいます。ほとんどの場合が対症療法で、定期的に目の下を拭いてあげましょう。

ペキニーズのをお迎えしたら、動物病院で健康診断をしておくと安心です。異常がなくても1年に1回ほどは定期的な健康診断を行いましょう。健康診断は病気の早期発見につながります。

ペキニーズは、勇敢で誠実なので良い家族となり、健康に気を使ってあげれば長い時間共に過ごすことができます。ペキニーズの特徴を知って、良い関係を築いていきましょう。
わからないことや不安なことがあれば、ショップや動物病院で相談してください。